■16 《真side》 『メッセファイト』
作:校條 春
「あああああああああああああああああああああ」
ミコトは自室で絶叫していた。
画面にメッセージが書き込まれる。
逆転カードマン:超でわからすのたのすぃ~
うさ☆ベリー:運だけ乙
逆転カードマン:結果がすべてだよ結果が笑笑
うさ☆ベリー:たかが1勝でその強気かなしいね~
逆転カードマン:効いてる効いてる
うさ☆ベリー:いいから早く再戦押せ
逆転カードマン:はい笑
少し時が経ち。
「いやっほ~~~~~~~~~~~~~~い!」
今度は歓喜の叫びが轟く。
ミコトは小躍りしながらメッセージを書き込む。
うさ☆ベリー:結果が全てなんだよね~わかる~
逆転カードマン:いやいやいや全然勝ち越してないですやん
うさ☆ベリー:じゃランクマいってきますわ✌
逆転カードマン:ちょーーーい座れ座れ座れ座れ
うさ☆ベリー:なにか?
逆転カードマン:まぁ再戦押せよ
うさ☆ベリー:えー勝ちで終わりでいいけどなー
逆転カードマン:逃げんの?
うさ☆ベリー:かかってこいよって
ミコトとユナ。
二人の不思議な関係は今も続いている。
リアルで会えば、アイドルとオタク。
ネットで会えば、腐れ縁ライバル。
二つの顔をそれぞれ自然にこなしていた。
そこからさらに数時間、二人はカードファイトとメッセファイトを繰り返した。
逆転カードマン:ソーリーソーリー強すぎてソーリー
うさ☆ベリー:先週のも合わせると私の方が勝ち越してるんだよな~
逆転カードマン:過去にすがる奴はどうこうって言ってましたよね?
うさ☆ベリー:そっちこそ一番大事なのは未来とか言ってましたよね?
逆転カードマン:よしやるか
うさ☆ベリー:おうやるよ
と、その時。
不意に別のメッセージが表示される。
光の閃士:あの、ここ私たちもいるグループなんだけど……
「……」
ミコトが現在プレイしているヴァンガードのゲームには、何人かのグループを作ってファイトやチャットを楽しむ機能がある。いつもミコトとユナが二人でやりあってるグループの他にも、多人数で入っているグループがいくつかあった。
ミコトが恐る恐るメッセファイトを繰り広げたグループを確認すると、そこは二人の他にヒカリやアキナなどが入っているグループだった。
「……おぉ」
思わず声が漏れる。
それからしばらく沈黙が続き、
うさ☆ベリー:すみませんでした
逆転カードマン:すみませんでした
ほぼ同じタイミングで同じメッセージを送っていた。
「もう、どうして……」
ミコトは両手で顔を覆う。
一人の部屋に、何とも言えない空気が流れるのだった。
