■13 《真side》 『三つ巴』
作:校條 春
夜。
街灯に照らされた道を歩きながら。ルカは大きく伸びをする。
「ん~~~、ひっさしぶりの我が故郷、楽しかったな~」
「もう行くのか?」
「もっとファイトしていけばいいのに」
その一歩後ろを歩くのはカゲツとミチル。
「あんまり長居すると、根っこが生えちゃうからね」
「あんたに限ってそれはないだろ」
「そうかな~」
「自分で作ったチームを突然抜けてどっか行ったやつがよく言うよ」
「およよ、手厳しい」
ばつが悪そうなルカ。
ミチルは、そんなルカを肯定する。
「己の要求に従う。いいことだと思うよ」
「だよねミチルン!」
「うん。だからファイトしよう、限界まで」
「もちのろん! 今夜は寝かさないぜ!」
妙に息の合うルカとミチル。
今日は三人で、何を気にすることなくただファイトをしようと集まったのだ。カゲツは「はぁ」とため息をつきつつも、自然と笑みがこぼれていた。
「……ったく。俺も混ぜろよ」
「当然でしょ。今日こそは君に勝つよ」
ミチルの鋭い眼光がカゲツを捉える。
「じゃあ私はミチルンにリベンジだね」
ルカはうきうきでミチルに宣戦布告する。
「なら俺はあんたを超えるぞ」
カゲツはルカに拳を突き出す。
三者三様。歴史を刻んだ者たちが、己が心の赴くまま、目の前の相手に勝つことだけを純粋に目指していた。
「あ、そうだ! じゃあじゃあ追加でこういうのはどう? 負けた人は勝った人の好きなとこを一つ言うの!」
ルカの思い付きにカゲツが抗議する。
「は? いいわけないだろ」
「勝ち続ければ褒められまくる、すごくいい案だと思ったんだけどな~」
「んなことする必要――」
だが、ミチルはルカ側についた。
「いいんじゃない?」
「な、お前!」
「だって、負けなければいいんでしょ?」
「……ッ!」
これにはカゲツも、咄嗟に言葉が出てこない。
「んじゃ決まりってことで!」
「ふふ、楽しみだね」
楽しそうな二人を見て、カゲツは腹をくくる。
「……ああくそ! わかった、わかったよ。ただし、もう容赦はしないぞ」
カゲツの本気を感じて闘争心に火が付いたのか、ミチルは心底嬉しそうに笑う。
「いいね」
ルカは特に気にすることなく能天気だったが、その声色はハイテンションだ。
「よっしゃ、ばっちこーい!」
妙なことでさらにエンジンがかかった三人。
大金を積んでも見たい人がいるであろう彼らの死力を尽くしたファイトは、誰に知られることもなく、夜が明けるまで続いた。
――余談だが、三人とも好きなところを散々言い合う羽目になったという。
