■11 《真side》 『ファイトを求める者』
作:校條 春
ミコトが下校中のことだった。
今日はこの後の予定がないので、家でゆっくりネットヴァンガードを楽しむぞ、と思ってた矢先に、スマホにメッセージが届く。
『ファイトだ』
その短い文面だけで、誰からのメッセージか容易に推理できた。
『アキナ先輩たちはどうしたんですか?』
『アキナとケントは面談があると言っていた。クオンは教授に用事があると言っていた。頼れるのはお前だけだ』
「私、4番目なんだ」
思ったことがつい口に出てしまう。
『いいですよ』
突然の誘いだったが、ミコトも今日はファイトを楽しもうとしていた。それがネットからリアルになるだけで、心はもうとっくにヴァンガードの気分だった。
私服に着替え、サングラスをかけてストレイキャットまで来ると、落ち着かない様子で「ファイトファイトファイトファイト」と呟き続ける不審者がいた。
「呼続先輩、それ怖いのでやめた方がいいですよ」
「来たか。ファイトだ」
不審者――呼続スオウは嬉しそうにデッキを取り出す。
「受けて立ちます」
ミコトも、にやりと笑いデッキを取り出す。
ファイトが大好きな二人の、放課後ファイトが始まった。
「アニエスでアタック!」
「くっ、ノーガード!」
スオウに6点目が入る。
「やった♪ 私の勝ちぃ!」
「もう一度だ!」
「望むところ!」
「ヴェドロークでアタック!」
「やば、ノーガード……」
ミコトに6点目が入る。
「俺の勝ちだ」
「くぅ~! もう一戦、もう一戦です!」
「ふっ、いいだろう」
――二人の性格は違っても、その気質はよく似ていた。とんでもない負けず嫌いなのだ。そしてファイトをしている以上、どちらかが勝ちどちらかが負ける。二人の意地の張り合いは、無限に続くのではと思えるほど続いた。
「あの~、そろそろ閉店時間……」
店員が恐る恐ると言った感じで二人の間に入ろうとして、
「「あと少しだけ!」」
「ひぃ~!」
その気迫に気圧される。
そこからさらにもう2戦ほどやって、ようやく二人は帰路についた。
「あ~、たのしかった~」
「次は俺が勝ち越す」
少し悔しそうな声色のスオウに、ミコトはあえて挑発的に返す。
「あれ、呼続先輩、もしかして気にしてます?」
「当然だ。次はデッキもプレイも変えて挑む」
「いいですね。リベンジ、待ってますよ♪」
「くっ……ミコト、明日俺のクラスに来い。そこで決着だ」
「いや、学校ではやりづらいんですって」
「そうだった……じゃあ次の休日だ!」
「せっかくなので、アキナ先輩たちとも予定合わせませんか」
「そうだな」
「先輩たちに予定、聞いておいてくれます?」
「任せろ」
「本当に大丈夫かな……」
自信満々に胸を叩くスオウを、不安げに見るミコト。
ファイト狂いの二人の、次なる戦いの場が決まったのだった。
